「男の家にはしたくない」お話し合いをし始めて間もなく。印象的な言葉として覚えています。「ご主人を家の中に入れません」って話では有りません。
全てとは言いませんが、大概新築工事ともなれば近くの大工さんか、近くの工務店にお願いしなくてはならないと言う地域的な発想が多かったのはよく聞きます。確かに何かあった場合距離的に近いのはよい事ですが。どちらかと言うとあまり自分の意見が聞き入れられず、良かれと思って大工さんの感覚で施工されてしまう。
完成した家は、ご主人より圧倒的に長い時間家で過ごす奥様の意見は入っていない・・・・奥様のおっしゃる「男の家」である。
何年間も事あるごとにプランなどのやり取りをさせて頂いてましたので、水廻りの使い勝手は勿論、土地柄祭事などには人が集まるので和室+玄関ホールを広間として使える工夫をするなど、間取りに関しては奥様とかなりの間お話ししたのは覚えています。「男の家」にはしちゃいかんなーと。
打ち合わせが長い時間かかりましたが、建てることがようやく決まり、いざ「地鎮祭」の予定日になると台風が上陸、直撃だった事ですかね。ビリーブさんには無理言って強行してもらい無事済みました。永瀬さんの家は浸水までは免れたみたいですがもう少し降っていたら浸水してたそうで(笑)時期的に雨が多かったので外の工事自体も雨にたたられることが多かったですね。
工事が始まってからも打ち合わせが多かったのでそのあたりは時間がかかりました。床材や壁材、建具などは全て手造りでしたので、一つ一つ決めるのに一苦労でした。
私が「桂離宮」の白と青の印象的な襖が好きなので、あのままではさすがに目立ち過ぎるので、永瀬さんと相談して色の組み合わせを変えてデザインしてもらいました。淡い色合いで気に入っています。
びっくりしたのは、旧家の時からの大きな「神棚」が有るのですが、神棚の高さを基準にして和室の高さを決めて頂きました。きめ細かい対応をして頂きありがたく思っています。元々あった欅の「大黒柱」や、床板も再利用して頂き、小野さんはじめ大工さんには色々と工夫して頂き感謝しています。
今までが平屋だったというのも有りますが・・・・一番は使い勝手です。当然2階に上がる必要も無いですし、動く範囲も狭くて済みますからね。
子供たちも巣立ちましたし、夫婦二人なら平屋が良いかなと思いました。(一部2階建てのプランも何回か作って頂きましたが)
ただ、「祭事」を家でしなきゃならないのもあって「和室二間続き」が有る分面積は大きくなりましたが。
元々の茅葺の家は夏場は比較的涼しくて、冬場はかなり寒かったのですが、さすがにもうそれは有りません。「長期優良住宅」にして頂いたせいか、冬場の断熱が良いのでストーブ一つでリビングは温まりますし、足元もひやっとしなかったのが最初に感じたことです。
屋根の「むくり」や外壁がちょっと変わってたりするのはビリーブさんにほぼお任せです(笑い)娘の友達が「かわいい」と言ってみたり、あいさつ回りに来た他のハウスメーカーさんがちょっとびっくりしたり・・・
前にお話ししたのですが、室内の45センチほどの窪んだスペースや、軒が深く掛かっているウッドデッキは無駄なんじゃないかと言われるのですが、色々な使い道も有り少し余裕を感じるので家族はお気に入りの部分です。
無垢の木がたくさん使われているのですが、日に日に色合いが変化していって味が出てきているのがとても良いです。
出来る限り「本物の素材」を使ってほしいという要望も聞いて頂きました。
もう5年が経ちましたが、いまだに喜んで頂いてありがたく思います。ご主人が建築関係のお仕事をされていましたので、現場にはある種の緊張感が有りましたが。大きなトラブルもなく完成してよかったのは覚えています。
「雲海の見える~」といつも書いてはいるものの、実は一度も見たことが無いので、今更ながらチャンスがあれば見てみたいと思っています。